体調が悪くなったとき、自宅に買い置きの薬を飲もうと思ったら、使用期限が過ぎていた!ということありますよね。そんな使用期限の過ぎた薬は、使ってしまってよいのか迷います。
私も薬剤師として勤務していたころ、患者さんが自宅からいつもらったのかわからない薬を持参されて使いたいと相談されたことがありました。
中には、どう見ても薬の色が変色しているもの、ドロドロと溶けたようなものもありました。さらに、自宅で使用期限の過ぎた薬剤を飲んでしまい、体調をさらに崩してしまって、結局病院にかかったなんて方もいらっしゃいました。
ここでは、薬の使用期限が過ぎたらどうなるのかについて説明していきます。
目次
薬は使用期限が過ぎたらどうなるの?
まず、薬の使用期限は、未開封のもの状態かつ、適切な保存状態を保った場合に外箱に記載された期限まで有効ということになります。
そのため、一度開封してしまったものや、高温多湿などの劣悪な環境で保存した場合は、使用期限は外箱のものではなくなると考えてください。
薬は使用期限が過ぎたらどうなるのかを具体的に説明していきます。
使用期限の過ぎた薬は、
- 薬の効果がなくなる
- 薬の副作用が出る
- カビや細菌が繁殖する
などの状態となります。
次に詳しく説明していきます。
薬の効果がなくなる
薬の中には、光や湿度の状態によって、病気を治す薬の成分が分解されてしまうものがあります。
私は、薬ではありませんが、ビタミン剤のサプリメントをピルケースに入れて、鞄で持ち歩いていました。仕事が忙しいからと飲むのを忘れていて、久しぶりにケースをあけてビックリ!
サプリメントの色が白から濃い黄色に変色、さらにところどころで黒い斑点ができていました。開封してしまうと錠剤であっても有効成分が変化していき、効果がなくなるという場合もあります。
薬の副作用が出る
先ほどの項では、薬の効果がなくなると説明しました。
薬によっては、時間が経つと有効成分が変化して、副作用がでやすいものに変化する場合もあります。
代表的なものが、アスピリン(バファリンなどの主成分)です。アスピリンは炎症や鎮痛を目的に使用されますが、アスピリンの成分は使用期限が過ぎると、成分が分解されて防腐剤に使用されている成分に変形してしまいます。
期限を過ぎたものを安易に飲んでしまうと、体の中に防腐剤を取り入れていることになってしまうこともあります。
当然、防腐剤が体に良いわけはありませんので、結果として胃腸障害などの副作用を起こす場合があります。
カビや細菌が繁殖する
薬によっては、使用期限を過ぎるとカビや細菌が繁殖する場合があります。特に多いのが、液体の薬や軟膏です。
お子様に使用する薬の中には、甘味の強い液体の薬(シロップ剤)があります。甘いものお菓子には、アリなどの虫があっという間によってきますよね。
薬も同じです。シロップ剤の中にカビや細菌が入り込んでしまうと、甘い成分をエサにどんどん繁殖してしまいます。
冷蔵庫に保管していたから大丈夫と思っても、一度入り込んでしまったばい菌は、ゆっくりと増殖しているなんてこともあります。そのため、薬は使い切る、余ったものは処分するなどの対処が基本です。
また、目薬や軟膏は、使用するときにうっかり汚い部分に触れてしまった。などの場合もあります。目薬や軟膏の中で菌が繁殖するなんてこともあります。
このように使用期限の過ぎた薬は、危険がいっぱいです。絶対に使わないようにしましょう!
しかし、薬の使用期限、外箱に書かれていたらわかるけど、処方箋で出た薬の使用期限ってどうなるの?目薬や軟膏は開封したら、ばい菌が入るっていわれたけど、いつまで大丈夫なのよってなりますよね?
次の項でこれらの処方箋薬の使用期限について詳しく説明していきます。
処方箋薬の使用期限はどうやってわかるの?
処方箋薬も市販薬も、内服薬の期限は一般的に3年~5年程度とされています。
市販薬は、外箱に使用期限が記載されているのでわかりやすいですね。一方、処方箋薬は、薬局で薬だけもらうため使用期限がわかりません。
処方箋薬の使用期限は、「飲み終わるまでの日数までが使用期限」となります。わかりにくいと思うので、具体的に説明していきます。
8/1に病院を受診して、次の処方箋をもらいました。
A薬 1日1回 朝食後 30日分
B薬 1日2回 朝夕食後 15日分
それぞれの薬の使用期限は、
A薬⇒8/30まで
B薬⇒8/15まで
となります。
つまり、薬局で出す薬は患者さんが飲み終わる日まで、薬の使用期限が有効なものを出すことができます。
そのため、処方箋薬は、前回もらった薬が余っているから使っておうと考えると、すでに使用期限の過ぎた薬を使用していることになるのです。
ここまで、薬の使用期限が過ぎた場合の問題点や使用期限のとらえ方について説明してきました。
使用期限は守ろうと思っても、つい飲み忘れてしまって、手持ちに薬が余ってしまった。今、風邪の症状が辛すぎるから、薬を飲みたい。という場合もありますよね?このような相談も私が薬剤師として勤務していたころ、数件経験したことがあります。
次の項で、そんな相談に私がした対処方法を紹介します。
処方箋薬が自宅に余ってしまったときの対処方法
私が薬剤師として勤務していた頃、処方箋薬が自宅に余ってしまった、今使いたいなど、様々な相談がありました。
処方箋薬が自宅に余ってしまったときの、私が対応した具体的な事例を紹介します。
患者さんから処方箋薬が自宅にあった。いつから余っているかわからないといって、薬を持ってこられました。
私がしたことは、
- 薬剤師が記録している患者さんの服用記録を確認していつ処方されたかを確認⇒○
- 患者さんの飲んでいる薬を仕入れた時期、薬の製造番号を確認⇒○
- 製薬メーカーに薬の製造番号から使用期限を確認⇒○
- 患者さんの自宅での薬の保管状況について確認⇒×
などを行いました。
その結果、最初の3項目はクリア(○)でしたが、患者さんの自宅での薬の保管状況が劣悪(×)でした。この方は自宅で、薬を窓際で保存しており、湿度が高い状態であったことが判明しました。
その薬の性質上、多湿下では有効成分が変化することがわかったため、再利用はおすすめしませんでした。
このように一か所の薬局を利用するようにしておけば、薬局には、患者さんの服用の記録についての記録があります。そのため、いつから、どの薬を飲んでいるのかがわかります。
患者さんの保管状況がクリアできていたならば、再利用という選択肢もあった可能性がある事例でした。
このように使用期限がわからなくなった薬については、いつも対応してもらっている薬剤師に相談してみましょう。
きっと色々な方法を考えてくれるはずです!
まとめ
ここでは、薬は使用期限が過ぎたらどうなるのかについて説明してきました。
使用期限の過ぎた薬は、
- 薬の効果がなくなる
- 薬の副作用が出る
- カビや細菌が繁殖する
という状態になります。
自己判断で使用期限の過ぎた薬を使うのは、より一層の健康被害を招く場合がありますので、注意が必要です。
薬の使用期限がわからなくて、使うかどうか判断に迷った場合は、薬をもらった薬剤師などに相談しましょう。薬剤師は、薬を患者さんに渡した責任があるため、患者さんの記録などからきちんと使用可能か不可を判断してくれるはずです。
一方で、薬剤師が使用可能か不可を判断する際に、患者さんの色々な情報が必要となってきます。そのため、普段から利用する薬局などを一か所に定めるなどの対応をして、薬剤師に十分な情報を与えておくことも重要です。
自分にあった薬剤師、信頼できる薬剤師を一人探しておくことをお勧めします。