“ロコモ“という言葉を聞いたことありますか?
ロコモとは、ロコモティブシンドロームの略称で、和名では運動器症候群といいます。
ロコモティブシンドロームは、運動器の障害のために移動能力の低下をきたして、要介護になっていたり、その危険性が高い状態です。
このロコモティブシンドロームになってしまうと、歩いたり、座ったりするなどの日常の簡単な動作も満足にできなくなってしまうこともあるため、予防することが大切です。
ロコモティブシンドロームの予防法は、大きく分けて2つ、運動で予防する方法と、食事で予防する方法があります。
ここでは、食事でロコモティブシンドロームを予防する方法について、詳しく紹介していきます。
目次
ロコモティブシンドロームの予防と食事の関係
最初に、ロコモティブシンドロームの予防と食事がどのような関係があるのかについて学びましょう。
ロコモティブシンドロームは、体の運動機能が障害されることで発症します。
体の運動機能は、関節や筋肉、骨などが互いに複雑に関与しあって維持されています。
日常生活で食生活が乱れると、この運動機能に影響が出てきます。
具体的には、次の2つがあげられます。
- 体重増加による関節への負荷
- 食事制限による栄養不足
それぞれについて、詳しく説明していきます。
体重増加による関節への負荷
人は、ストレスなどの負荷が体に過度にかかると、食生活が乱れてしまう場合があります。
ストレスを軽減するために、スナック菓子やチョコレートなどの甘いものを食べすぎてしまったり、偏った食事内容を続けてしまうことがあります。
偏った食生活や甘いものなどは、高カロリーの場合が多いため、体重が増加してしまいます。
この体重増加は、緩やかに体重が増えていくならば、ゆっくりと体に負荷がかかるため筋肉や骨などが増えた体重を支えるために、鍛えられていきますが、ストレスなどで暴飲暴食をしてしまうと、短期間に体重が増えてしまうことがあります。
突然、体重が増加すると、体の骨や筋肉はすぐに鍛えることができないため、体に負担になってしまいます。
特に、体重増加で最も負荷がかかるのが、関節です。関節は、曲げたり伸ばしたりするときに、人の体重の何十倍もの力がかかります。もちろん、体重が重い人ほど、関節にかかる負荷も大きくなるという仕組みです。
体重増加により関節が痛くなってしまうと、体重を減らすための運動をすることさえできなくなってしまい、ロコモティブシンドロームを発症し、さらに体重が増加するという悪循環になってしまいます。
このようなことから、適切な量、カロリーの食事が大切になってくるんです。
食事制限による栄養不足
先の項では、体重増加による関節への負荷が増加すると紹介しましたが、過度な食事制限は、体の栄養不足を招いてしまいます。
過度な食事制限の代表的なものは、ダイエットです。
ダイエットをするときに、食事の量を減らすという方、いらっしゃいますよね。もちろん、炭水化物、食物繊維、お肉や魚などの全体の食事の量をバランスよく減らすというならばよいのですが、野菜しか食べないなど、食事内容が偏ったダイエットになってしまう場合もあります。
この食事内容が偏った状態では、筋肉や骨に必要な栄養成分が摂取されずに、栄養不足となってしまいます。
筋肉や骨が栄養不足になると、体が疲れやすくなったり、骨がスカスカになってしまう骨粗鬆症の原因にもなることがあります。
体重が増加しずぎても、体重を減らしすぎても、ロコモティブシンドロームを発症してしまう可能性があるため、それらを予防するための食事が大切なんですね。
そこで、次の項では、ロコモティブシンドロームを予防するため食事のとり方について詳しく説明していきます。
ロコモティブシンドロームを予防する
ロコモティブシンドロームを予防する方法は、適切な食生活を送ることが大切です。
適切な食生活を実現するためには、次の2つのポイントがあります。
- 適正体重を知ろう
- 食事で骨と筋肉を強くしよう
それぞれについて、詳しく説明していきます。
適正体重を知ろう
ロコモティブシンドロームを予防するためには、体重が増えすぎてもNGですし、減らしすぎてもNGです。
肥満になり、体重が増加すると腰や膝に負担がかかってしまいます。また、ダイエットや食欲不振で低栄養状態になると、骨や筋肉の量が減ってしまい、結果、ロコモティブシンドロームになってしまうということです。
そこで、最も健康的に生活ができると言われている標準体重を意識して、体重をコントロールするようにしましょう。
標準体重は、「標準体重=身長(m)×身長(m)×22」の計算式で知ることができます。
例えば、慎重160cmの人の場合の標準体重は、次のように計算します。
身長160cmの人 → 1.6×1.6×22=56.32 標準体重56.3kg
この標準体重を一つの目安として、体重がオーバーしていれば、ダイエットをして、体重が減りすぎていれば、適切な量のカロリーを摂取する食生活を見直すようにしましょう。
食事で骨と筋肉を強くしよう
骨を強くするにはカルシウムの摂取が必要です。1日700mg~800mgのカルシウムを摂ることがすすめられています。
また、カルシウム以外にも骨の材料となるタンパク質、腸でのカルシウムの吸収を高める働きのあるビタミンD、骨の形成や骨質の維持に働いているビタミンKも一緒に摂取することでよりカルシウムの吸収率を高めます。
筋肉を強くするには、タンパク質を十分に摂取しましょう。また、エネルギー源となる炭水化物や脂質もしっかり摂るようにしましょう。タンパク質は、いろいろな種類の食品から摂るように心がけましょう。
それぞれの栄養成分が多く含まれている食材は、次のようなものがあげられます。
- カルシウム
- タンパク質
- ビタミンD
- ビタミンK
牛乳・乳製品・小魚など
肉・魚・卵・大豆・乳製品など
鮭・きのこ類など
納豆・青菜など
これらの食材を、1日の食事の中にバランスよく組み入れることで、栄養バランスの整った食事をとることができます。
まとめ
ロコモティブシンドロームを予防するためには、食事が大切です!
特に、食事は体重の増減に深く関与するため、知らない内に、ロコモティブシンドロームを発症してしまうという場合が多いといわれています。
人は、炭水化物、タンパク質、脂質などを外部から摂取しなければ、体を動かすことができません。そんな大切な栄養成分を摂取する食事は、人の健康を維持するために欠くことができない手段です。
ロコモティブシンドロームを予防するためには、まず、自分の標準体重を知り、それに合わせるようにカロリーを摂取することが大切です。
また、カルシウムやビタミン類をバランスよく摂取することもポイントです。
近年、成長過程にある中高生の女の子の過度なダイエットにより、骨粗鬆症のリスクが高まってしまったり、ホルモンバランスに不調をきたしてしまうことも報告されています。
食事は体の基本ですので、上手に食材を使って、バランスの良い食事を心がけ、ロコモティブシンドロームを予防していきましょう。
なお、ロコモティブシンドロームを予防する方法のもう一つ、「運動で予防する方法」については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、ご覧ください。
⇒ ロコモティブシンドロームの予防法!どんな運動が効果的なの?