最近、キノコ類に含まれる成分が、がんを予防すると話題になっているのを知っていますか?
私が薬剤師として働いているとき、患者さんの中には、アガリスクというキノコ類のサプリメントを摂取されている方がいらっしゃいました。
キノコ類の中に含まれているβ-グルカンという成分が、免疫力を高めてがんを予防する効果効能があるといわれています。
β-グルカンといって、β(ベータ)とついているのは、グルカンの中には、色々な型がありますが、βにだけ免疫力に働きかける効果があるんです。
ここでは、β-グルカンの効果効能について詳しく説明していきます。
目次
β-グルカンの効果効能
最初にβ-グルカンの効果効能について学びましょう。
β-グルカンはキノコ類に含まれている成分です。キノコ類といっても、私達のなじみのある、しいたけやしめじ、えのきなどに含まれている他、アガリスクやハナビラタケなどのキノコ類にも含まれています。
グルカンとは、ブドウ糖の集合体で、α型とβ型があります。
α-グルカンは、でんぷんなどが該当します。β-グルカンは、キノコ類に含まれている他に酵母(イースト菌など)からも抽出されるものです。β-グルカンはブドウ糖の集合体の多糖類ですが、糖分というくくりではなく、食物繊維として分類されます。
そんなβ-グルカンは色々な研究がされていて、これまで3つの効果効能が報告されています。
- 免疫力を高める
- 便秘の解消・予防
- 血中のコレステロールを低下させる
それぞれについて詳しく説明していきます。
免疫力を高める
β-グルカンが注目されている理由の一つは、この免疫力を高める効果があるためです。
β-グルカンは、体に取り込まれると、免疫細胞のナチュラルキラー(NK)細胞や、マクロファージなどの活動を活発にすることができます。
体の免疫細胞が活性化されることで、がん細胞の増殖を抑制することができるといわれています。また、がん細胞の増殖だけでなく、細菌やウイルスなどに対する抵抗力も高まるため、風邪やインフルエンザなどの病気にもかかりにくくなります。
さらに、β-グルカンは免疫細胞を活性化するだけでなく、免疫細胞を正常に整える効果もあります。そのため、β-グルカンは花粉症などのアレルギー症状に効果を発揮します。
便秘の解消・予防
β-グルカンは食物繊維です。そのため、腸の中で水分を吸収して、膨らみ便などをからめとって体外に排泄する働きがあります。
便秘は腸内に便が溜まった状態のため、食物繊維がこれらの便をからめとって体外に排泄してくれます。そのため、便秘の症状が改善し、便秘を予防することができるといわれています。
血中のコレステロールを低下させる
β-グルカンは、血中のコレステロールを低下させる効果があるといわれています。
β-グルカンの食物繊維は、体内に溜まった不要なコレステロールをからめとって体外に排泄してくれます。その結果、血中のコレステロール値を低下させることができます。また、β-グルカンは、大腸でコレステロールを生成する酵素を妨害します。
β-グルカンによるコレステロールの排泄と、生成を抑制する働きのおかげで、血中のコレステロール値が低下するといわれています。
こうして、体内のコレステロールが低下することで、血管へのストレスが軽減し、血栓ができにくくなったり、血流を改善する効果もあります。血液中のコレステロールを低下させることは、動脈効果や脳梗塞などの病気の予防にもなるといわれています。
β-グルカンのすごい体への効果効能がわかったところで、どんな食材に含まれているのか気になりますよね。
次の項では、β-グルカンの含まれる食材について、詳しく説明していきます、
β-グルカンの含まれている食材
β-グルカンは、キノコ類やパンやビールの酵母、大麦などに含まれています。
β-グルカンの量や種類については、キノコの種類によっても異なります。特にがん細胞の増殖を抑える効果があるβ-グルカンは、サルノコシカケ科、シメジ科、ハナヒラタケ科のキノコといわれています。
それぞれの科に含まれるキノコの種類は次のようになります。
【サルノコシカケ科】
- マイタケ
- カワラタケ
- カンバタケ
【シメジ科】
- ホンシメジ
- ブナシメジ
- ヒラタケ
- ホワイトブナシメジ
【ハナビラタケ科】
- ハナビラタケ
普段スーパーなどでみかけるキノコもあって、手軽に食卓にも並べることができますよね。
これらのキノコ、そのまま食べても美味しいですが、キノコ類は乾燥させたりすることで、より栄養価がアップするといわれています。
キノコは乾燥させると、次のように栄養価がアップするといわれています。
- タンパク質:6倍
- カリウム:7倍
- カルシウム:3倍
- ビタミンB群:5~7倍
- 食物繊維:11倍
β-グルカンが含まれる、がんによいとされるキノコ類も、乾燥させて売られています。β-グルカンの成分は乾燥したり冷凍しても効能は低下しないといわれているため、ぜひ乾燥キノコや冷凍キノコを作りましょう。
乾燥キノコも冷凍キノコも作り方は簡単です。
食べたいキノコを必要な大きさに切って、乾燥、冷凍させるだけでOKです。乾燥させたキノコは空気中の汚れなどが付着する場合もあるため、使用する際は水で洗い流してから用いるようにしてくださいね。
ただし、洗いすぎは禁物です!旨味成分や栄養は水に溶けだしてしまうこともあるため、乾燥したものを水で戻す場合は、戻した汁も使うようにしましょう。
まとめ
β-グルカンの効果効能について、詳しく学ぶことができました。
β-グルカンには、次の3つの効果効能があるといわれています。
- 免疫力を高める
- 便秘の解消・予防
- 血中のコレステロールを低下させる
この中でも特に、免疫力を高める効果が注目されています。β-グルカンの中でも、ある種類は免疫力を高めて、がん細胞の増殖を抑制するといわれています。
β-グルカンを含んだキノコの栄養素をアップさせる方法は、キノコそのままを食べるのではなく、乾燥キノコや冷凍キノコを作ることです。
一人暮らしの方など、キノコが余ってしまったら、ジップロックなどに入れて冷凍保存したり、ザルにならべて干すだけでOKです。
我が家は、ジップロックに余ったキノコをまとめて保存しています。しかも、しめじやエノキ、マイタケなどちょこちょこ余ったキノコをまとめて保存しているため、解凍して使うときは、色々なキノコのミックスを用いることができて、美味しいですよ。
皆さんもβ-グルカンを上手に食事に取り入れて、健康体を手に入れてくださいね。