テレビ番組などで、納豆は体にいい!と紹介されることが多いですよね。納豆には血液をサラサラにする効果があるとよくいわれます。
納豆のナットウキナーゼには血栓を溶かす作用があると放送されてもいます。
このナットウキナーゼの血栓への効果は本当であって、嘘でもあるんです。ナットウキナーゼに血栓への効果はありますが、人の体でナットウキナーゼが血栓に効果を示すことはないんです。
ここでは、ナットウキナーゼの血栓への効果が本当であって嘘である理由を詳しく説明します。
目次
ナットウキナーゼとは?
ナットウキナーゼの血栓への効果の本当であって嘘である理由について知る前に、ナットウキナーゼについておさらいしましょう。
ナットウキナーゼは、発見されてから60年近く経過して、体に良いことがわかりました。
ナットウキナーゼは、納豆の成分の1つで、納豆のネバネバしたタンパク質を分解する酵素です。納豆がネバネバするのは、ナットウキナーゼが大豆のタンパク質を分解することで起こっているのです。
ナットウキナーゼには、次の3つの効果があるといわれています。
- 整腸作用
- 免疫力アップ
- 血液をサラサラにする
それぞれについて詳しく説明していきます。
整腸作用
ナットウキナーゼは、腸内環境を整える作用があるといわれています。
ナットウキナーゼは腸内の善玉菌の働きを活発にする働きがあります。
また、O157のような病原性大腸菌に対する抗菌作用もあります。
そのため、ナットウキナーゼには腸の働きを整える効果があります。
免疫力アップ
ナットウキナーゼは間接的ですが免疫力をアップする効果があります。
これは、ナットウキナーゼの整腸作用によって、腸内の環境が良くなることで、免疫力を高める効果があるといわれています。
最近の研究では、免疫細胞の約6割が腸内にあることがわかってきました。その腸内環境を整えることで、免疫力を高めることができるという仕組みです。
血液をサラサラにする
ナットウキナーゼには、血液をサラサラにする効果があります。ナットウキナーゼは血栓をつくるフィブリンという成分に反応して、フィブリンを分解してバラバラにする作用があります。
フィブリンはタンパク質の一種で血液中に存在します。このフィブリンがたくさん集まることで、血栓を作り、出血などを止めることができます。
ナットウキナーゼはフィブリンを分解することで、血液をサラサラにする効果があります。
ナットウキナーゼのおさらいはちょっと長くなってしまいましたが、詳しく学ぶことができました。
ナットウキナーゼには血液をサラサラにする効果はあるんです。でも、人の体でナットウキナーゼが血栓を溶かす効果があるというのは嘘なんです。
これらの関係について、次の項で詳しく説明していきます。
ナットウキナーゼの血栓への効果の本当と嘘!
ナットウキナーゼには、血栓の成分のもとであるフィブリンを分解する効果があります。しかし、人の体の中で、ナットウキナーゼがこの効果を発揮するためにはいくつかの難関を突破しなくてはなりません。
突破しなくてはならない難関は、次の2つがあります。
- 高温
- 胃酸
ナットウキナーゼは、高温に弱いという特徴があります。そのため、納豆を加熱してしまうとナットウキナーゼは死滅して機能しなくなってしまいます。
また、ナットウキナーゼは、胃酸に弱いという特徴もあります。胃酸は、強力な酸性です。口から食べたものを最初に殺菌し、消化するという大切な役割があります。
ナットウキナーゼは、胃酸によって消化されてしまいます。
つまり、これらの難点からわかるように、納豆などからナットウキナーゼを口から摂取してもナットウキナーゼの効果は得られないんです。
そのため、テレビなどで納豆を食べて血栓を溶かそう!納豆を食べると血液がサラサラになる!というのは嘘なんです。
しかし、テレビ番組の納豆の紹介によっては、納豆の中のナットウキナーゼだけをピックアップして取り扱われていることもあるので、全部が嘘というわけではないんです。
ややこしいですが、結局、納豆を食べてもナットウキナーゼの効果はほとんど得られないというわけです。
ナットウキナーゼには、サプリメントも存在します。多くのサプリメントは胃酸に強い状態となっているため、サプリメントのナットウキナーゼを飲むと、効果が得られますので、食品から摂るのとは違うと覚えておきましょう。
血栓を予防するための薬、抗血栓薬を飲んでいる方は、納豆を食べないでくださいね。と薬剤師にいわれたことがありませんか?
ナットウキナーゼには、血液をサラサラにする効果がありますが、人の体の中では食品からほとんどその効果は得られないと説明しました。
ならば、納豆を食べても、抗血栓薬の効果には違いがないんじゃないの?と思われる方もいらっしゃいますよね。
これは、間違いです。抗血栓薬を飲んでいる方は、納豆を一緒に食べてはダメです。
というのも、納豆のナットウキナーゼの働きで抗血栓薬の効果が弱まるといっているのではないんです。これは納豆に含まれるビタミンKが原因です。
ビタミンKは、フィブリンを作り出すのを手助けする働きがあります。そのため、抗血栓薬と納豆を一緒に食べると、ナットウキナーゼが、フィブリンの働きを弱め、ビタミンKが、フィブリンを活発にしてしまいます。その結果、抗血栓薬の効果を弱くしてしまうのです。
皆さんの中には、薬剤師もナットウキナーゼの効果の嘘に踊らされているんじゃないの?間違えているのでは?!なんて思われた方もいらっしゃいましたかね。
ご安心くださいね。納豆に含まれるビタミンKが原因で、一緒に飲まないでくださいとお願いしているんですよ。
まとめ
ナットウキナーゼの血液をサラサラにして血栓をできないようにする効果は、本当であって嘘でもあります。
ナットウキナーゼ本体には、血栓を作るフィブリンの働きを抑える働きがあります。しかし、ナットウキナーゼは、高熱や胃酸に弱いため、納豆を口から食べても、体の中でナットウキナーゼの効果を得ることはできません。
テレビ番組などで納豆を食べて血液をサラサラにしようというような話が放送されていたら、それは嘘です。納豆を食べるとビタミンKも摂取するため、フィブリンの働きを活発にして血栓を作りやすくする働きがあるからです。
昨今は、ネットやテレビなど色々な情報をたやすく手に入れることができます。きちんと情報の本筋を見極めて、自分で選ぶようにしてくださいね。